2012年 01月 27日
マイナス20度の町で・その4
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「ねえ、ブルースマン」
「ねえ、ブルースマン」
「手の小さな子供にはまだギターは早いの?」
ブルースマンは酒臭い息を吐いていいました。
「言い訳は無限に考えつくものだ。
 手の大きい奴は、また別の言い訳をして、ギターを弾こうとしない」
「ねえ、ブルースマン」
「ねえ、ブルースマン」
「プロの音楽家になるにはどうしたらいいの?」
「アマチュアの音楽家にならないことだ」
「ブルースマンは意気地無しって、荒物屋のおばさんが言ってた、ほんと?」
「おかげで長生きしている」
「神父様は、お金がすべてじゃないって、言ったけど、ほんと?」
「腹がへっていない時はな」
「どうしていつもギターを持って歩いているの?」
「これは重りだ、これでバランスをとっているんだ」
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時計屋のお父さんは昔、ブルースマンと一緒に同じバンドにいました。
二人は古くからの仲良しでした。

「子供たちがいつも世話になっているようだね」
「オレが遊んでもらっているようなもんだ」
「ギターを弾かせてもらえるって、いつも喜んでいるよ」
「あいつらは、お前よりも筋がいいな」
「本当なのかね」
「酔っている時は嘘はつかないよ」
「ウイスキーよりもギターのほうが似合うくせに」
「これはお前にぴったりのギターでもあるんだよ」

雪ぶかい町には、たくさんの歌が静かに流れていました。

(おしまい)

by moonisup | 2012-01-27 23:59 | photo


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