2012年 05月 06日
春のはじめの日・06
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バイオリニストの休日は、コーヒーとモロッコパンで始まります。
そして、必ずレコード屋に行きます。

レコード屋の店主は頑固者です。
「うちの店はな、Yシャツにアイロンをあててから着るような輩はお断りだよ」
「そういう文句はホールの支配人に言って下さい、
 わたしが決めたルールではありませんから。」
「チャーリーはよく言ったもんだよ。
 金持ちは友情というものを、まったく知らない、
 特に生まれた時からの金持ちは、ってな。」
「どうして、チャーリー・パーカーが、モーツアルトの格言を言うの?」
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賞金稼ぎ(昼間はレコード屋)は、今夜も酒場にいます。
「おい、もっと強い酒をくれないか」
「あなたはもう、充分酔っているわ、これ以上のんでも酔えないのよ」
「いいからくれ」
「もう今日はおしまいにしましょう、からだにさわりますよ」
「お前がオレと同じぐらい悪い奴なのは知っている。
 パスタをスプーンで食べる、汚れたグラスで水を飲めるし、
 タバコの吸い殻を何日も捨てない、
 そして、酒を売って金を稼いでいる」
「どんな映画を観たの?」
「映画なんかみないよ、レコードしか聴かないんだ」
「どんなレコード?」
「聴きたいか?」
「聞きたいわ」

お店ではずっとバードがかかっていました。

(つづく)

by moonisup | 2012-05-06 23:51 | photo


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