2012年 08月 18日
くじらのモービーの夏休み 06
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8月ウニ日

陸にあがると、たくさんの音が聞こえた。
話し声だったり、機械の音だったり、色々な音楽だったり。

ガーガーうるさい親子がやってきて、いっぺんにたくさんのことを聞かれた。
母親が、
「ブルースに向いているか、ゴスペルに向いているか、よく自分で考えることですよ。
 天使と堕天使は紙一重ですけれど、違うものですよ。」
と言っていた。
よくわからないまま、教えられた教会に行った。
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8月あいなめ日

カートのライブには、心底驚いた、レコード屋で聞かせてもらったのとは、
まるで違う、すごいギターの音だった。
やっぱり陸はすごいところだ。
でも、コンサートの後のカートは、ずっとお酒を飲んでいた、誰とも話さずに。
おそるおそる話しかけてみると、予想よりもやさしい声でこたえてくれた。
「いい音が鳴るのはギターのおかげなんだ、自分の腕じゃない、そこを感違いしないことだ。」
「はい」僕は緊張してこたえた。
「でも、曲を弾くのはギターじゃない、俺の手だ、そこも勘違いしてはだめだ。」
「はい」いや、どっちなんだろう。
「君は、海から来ただろう。」
「はい。」
「いいな、海は。陸には何でもある。でも希望がない。」
「そうなんですか、」
「でも勘違いするな、オレ達は生きている、これが希望だ。」
「はい。」
「バケツをもってこい、ゲロが吐きたい、違う、それはギターケースだ!」
陸で僕は、すごいプレーヤーはひどい酒飲みだ、ってことを学んだ。

(つづく)

by moonisup | 2012-08-18 23:13 | photo


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