2017年 03月 21日
「写真のうまい下手、ってなんだろうね」 20世紀初頭に活躍したフランスの写真家・アンリ・カルティエ=ブレッソンは、 それ以後の写真に大きな影響を与えました。 当人の意思ではないのですが、「上手な写真」というのを、 彼が定義づけてしまいました。 まだカメラもフィルムも大変貴重だった時代です。 ブレッソンの写真には、 ・価値のある被写体(世界的な事件や著名人) ・美しい構図 ・決定的瞬間 という3要素があります。 いまなお現在、多くの人が、 たとえスマホでしか撮らない人でも、 この3つを意識しています。 ・どこかに出かけた非日常を ・わかりやすい構図で ・目をつぶらない表情のタイミングで 撮っています。 「被写体」「構図」「タイミング」 この3つをすべて意識しないで写真を撮ることは、 とても難しいのです(ほぼ無理です) ・「構図なんて気にしたことないよ」 と言う人もいますが、では人を撮る時に全身を入れますよね、 耳だけしか撮らない、顔が3/4で切れているとかないものです。 全身写す、という構図を意識しているからです。 ・「被写体を選ばないよ、絶景とかにこだわらないよ」 と言う方は、「日常」という被写体を選んでいます。 ・「シャッターチャンスなんて気にしない」 と言うなら、画面を見ないで、常にランダムタイマーで押すことになります。 1970年代にウィリアム・エグルストン、スティーブン・ショアという人たちが、 このブレッソンの呪縛から逃れることに成功しています。 ただ、ニューカラーと呼ばれる彼らの写真は、難解なもので、 万人受けするものではありませんでした。 写真はコミュニケーションツールで、 誰かに見せるものです。 その対象が一人の場合から、 世界中まで、範囲は異なりますが、 他人に見せる時は、何かしらの意見の提示になります。 「この猫かわいいでしょ」 「これ美味しそうでしょう」 「この景色きれいでしょう」 など、伝えたいものがあるということは、 ブレッソンの3要素の一つ目はすでにあるということなので、 残りの「構図」「シャッタータイミング」さえ決まれば、 それは上手な写真になります。 こう書くと簡単なことのようですが、 いまだに多くの人が写真を撮ることに苦心しています。 ネット文化特有の現象で、それは「否定される」ということです。 (つづく)
by moonisup
| 2017-03-21 20:01
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