2017年 03月 23日
上手な写真は誰のため? 05
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インターネット以前、休日旅行の写真を見せる相手は、
10人もいなかったと思います。
家族、友人、親しい仕事関係者、
サービスサイズにプリントした写真を、
小さなアルバムにいれて、見てもらうぐらいでした。
ところが、ワールドワイドウェッブに写真を公開することで、
多くの人に見てもらう可能性が生じました。
賛同をもらう一方、否定もされるようになります。
この否定は、直接「よくない」と言われることだけでなく、
「昨日の写真は“like”が100、でも今日の写真には10しかない」
ということを、
受け入れられなかった、と感じることも含みます。

意思の強い人は、こんなことにお構いなく
自分の写真を撮り続けることができます。
でも、
「あの人はいつも“like”が多い、自分は少ない」
など気にする人も少なくないようです。
ブログやsnsのサービスは、
意図的にランキングなどを気にするように作られているからでもあります。

海外の著名な写真家が、実験的に名前を伏せて、
作品をsnsに投稿すると、ほとんど“like”がつかないということがありました。
その写真が下手かというと、まったくそういうことはなくて、
とても上手な写真です。
snsには独自の文化があり、
プロの写真家の作品が、
必ずしも人気になるのではないということです。

今回、こんなことをだらだらと書いたのは、
写真教室の生徒さんで、
ブログに疲れて、snsに疲れて、
写真をやめてしまった方がいらっしゃったからです。
お気持ちよくわかります。
ブログやsnsなんて、休んだり止めたりして、かまわないと思います、
疲れます、疲れるようにできているので。
でも、写真は撮り続けることをおすすめします。
もちろん無理のない範囲で。
日々のどうってことないものでも、
何かしら撮っておくといいと思います、
誰にも見せる必要はなく、snsの反応など気にせず。
その写真を数年後に見た時に、きっと微笑む瞬間があります。
最初に書きましたけど、写真でネガティブな感情を表現するのは難しく、
ほぼ無理なことだからです。

世界一有名な写真家になったアンリ・カルティエ=ブレッソンは、
60歳で引退してしまいました。
もう写真はやめると宣言して。
それから95歳で亡くなるまで表舞台から姿を消して、
家族と過ごしていました。
常人には撮ることのできない数々の傑作を発表した彼ですから、
もう写真ですべきことはないと思ったのでしょうか。
彼の引退は、なんだか寂しい話だと思っていました。
ところが、彼の死後、
引退後に撮った写真の一部が公開されました。
それはそれは素晴らしい、幸せと愛に満ちた家族写真でした。
写真の神様は被写体を、世界から家庭に変えただけでした。
誰に見せることもない写真を撮り続ける、
そんな幸せの形もあるのだなあと、
思いました。

この3月でブログを続けて13年目になりました。
写真について、ちょっと書こうと思ったら、
長くなってしまいました。
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写真は自分の興味あるものしか撮影できないものです。
流行っているからと、好きでないものを撮っても長続きしないし、
見る人が見ればわかります。
なのでブログを長く続けていると、同じネタが重複します。
3年も続ければ、ほぼネタは出つくします。
ワンパターンになれば、見る人も減るし、
何よりも自分が飽きてしまいます。
でもワンパターンになることは重要かつ難しいことでもあります。
「歌舞伎の世界では型を大切にします。
型がしっかりしている人が、イレギュラーなことをするので、
型破り、になります。
型のない人がすれば、型無し、です。
(談:立川談志)」
自分の型を育てながら、もう少しブログを続けようと思います。
毎日更新ではありません、気が向いた時のみです。
またこれからも、どうぞよろしくお願いします。

 2017年3月 関川真佐夫

by moonisup | 2017-03-23 21:03 | photo


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