2005年 10月 27日
キスフライ定食
西新宿・豚珍館のキスフライ定食(ライス・豚汁お代わり放題)650円
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23歳の頃、とっても貧乏だった。
たまに収入があると、その金額の9割をフィルム代と現像代にしていた。
1万円の収入があると9000円分、フィルムと現像液を。
10万円の収入があると9万円分、フィルムと現像液と印画紙を買っていた。
なので、この頃は1年間、服も靴もCDも、まったく買えなかった。
ああ、あの頃にデジタルカメラがあったら、、、、
 西新宿をふらふらと歩くのは、ヨドバシカメラとか中古カメラ屋がたくさんあったから。
買うお金はないけど、ガラスケースの中の機材を眺めているだけで楽しかった。
外食はぜいたくなので、滅多にしなかった。
ある日、空腹にたえきれず、ふらふらしていると、雑居ビルの2階にとんかつ屋を見つけた。
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「相席でお願いしまーす」
狭い店内には、ぎゅうぎゅうに客が座っていた。
僕の前の人にちょうど、
「おまちどうさまー、とんかつでーす」
と、大きな皿がどんと置かれる。
で、でかい、、
「おきゃくさん、なんにしましょー」
「あ、え、ぼく、え、すみません、ちょっとまって、、あ、キスフライお願いします」
「キス、いっちょ〜〜」
初めての店で注文を考えるのはいつも悩むなあ、と思っていると、
ガラガラ!と大きな音で扉をあけて、武士が一人入ってきた、
「おう、オヤジ、一番はえぇの、もってこい、飯は大盛りだ」
「へっぃ」
、、、かっこいい、、やっぱり侍は違う、、町人の僕なんかには真似のできない注文っぷりだ。
隣のテーブルに座った武士のとこに、
「とんかつおまちどうさま〜、ごはん大盛りでーす」と
運ばれてくる。
「おう」と武士。
僕の所にもすぐにキスフライ定食が運ばれてくる。
それにしても、この店の客は、全員が男子だ、ご婦人は一人もいない。
僕の目の前に置かれたご飯の量を見て、わかった。
これで普通盛りか、、食べきれないなあ、、
「ごはんおかわりくださーい」
「豚汁おかわりくださいーい」
おかわり自由なのだ、それで男子率が100パーセントなのか。
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「ごっさん、いくらだ!」
え、隣の武士は、もう食べ終わっている。
あの巨大なとんかつと、大盛り飯を瞬時にたいらげている。
おそるべし、武士。
付近の工事現場から来たであろう武士は、紫色のにっかぽっかを履いていた。
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あれから16年、いまだに僕はこの店でキスフライ定食を食べている。
もちろん、注文する時は、「ご飯少なめに」と言って。
食べ終わった後に、向かいのビルの中古カメラ屋をのぞくのも、16年来の習慣だ。
何も買わないのだけど。
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by moonisup | 2005-10-27 22:06 | food


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