2008年 12月 09日
撮影のマナーについて
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先日、写真家・根本先生からうかがったお話です。
「佃周辺、特に佃小橋のあたり、ずいぶん前から撮影禁止でね。
 カメラマンたちのね、マナー以前の問題なんだよね。
 深川もね、そろそろ町一帯で撮影禁止になるかもね、、、」」
とても悲しい話題です。
プロアマ問わず、カメラを持っている人というのは、こちらが考えている以上に煙たがられています。

写真撮影時のマナーについて、一緒に考えてみましょう。



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想像してみて下さい。
あなたの住んでいるところに、突然カメラを持った集団がやってきます。
大声で会話をして、挨拶もなしに、あなたの家の玄関、ベランダ、干してある洗濯物を、
ぱしゃぱしゃと撮影して。しかも立ち去った後には、タバコの吸い殻やペットボトルが散乱していたら。

僕が高校生の時、山岳部の友人から聞いた話(かれこれ25年前)。
水芭蕉で有名な国立公園で一人の男性が逮捕されました。
水芭蕉を足で踏みにじったのです。
理由は、
「大変素晴らしい景色だった。これを自分以外の人に撮られたくなかったから、
 撮影後に、足で踏みつぶした。」
でした。

私はここまでひどくない、こんなことはしない。
ほとんどの人がそう思うでしょうし、また実際そうだと思います。
しかしながら、残念なことに世間のイメージはそうではないのです。
一眼レフを持った、特に集団は同類のように警戒される対象なのです。
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とある桟橋での夜景撮影ワークショップでのこと。
一人の方がカメラを隣接しているホテルに向けたので、すぐに注意しました。
そこの桟橋は、夜景がきれいでたくさんの人がカメラを持って訪れる場所です。
特に撮影の申請も不要です。
それでも僕らは、一眼レフを三脚につけた集団だったので、とても目立つのです。
自分がそのホテルに宿泊しているとして、
望遠レンズをつけた集団が、自分の部屋を撮影している気配がしたらどうしますか?
フロントに電話するでしょう。
フロントの人は警備の人か、あるいは警察に通報するかもしれません。
そういう騒ぎが一度でもおこると、その桟橋は以後、三脚を使った撮影が禁止になります。
そして、一度撮影禁止になった場所は、よほどの事がない限り撮影可の場所には戻りません。
京都の寺院にはそんなところがたくさんあるのです。

日本橋でワークショップをした時に、車道に降りて撮影した方がいました。
前後の車の動きを見て安全を確認して、ほんの数秒のことでした。
それでも、どこかで必ず誰かがそれを見ています。
「カメラを持っている人は無茶をする。」
そんなイメージを周囲にうえつけます。
もしも事故が起きたら、
「観光客が事故にあった」
ではなくて、
「撮影に夢中になっていた人が事故にあった」
という報道のされかたをします。
そうなると日本橋界隈が撮影禁止になることもあるのです。
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写真同好会が撮影会をすると、そのあとには吸い殻だけが残される、と言われていた時代もありました。
昨今はさすがに喫煙マナーの呼びかけも広まっているので、多くの方が携帯灰皿をお持ちです。
それでも、寺院などでは喫煙場所以外は禁煙です。
重要文化財の木造建築のある場所で、この乾燥している季節に喫煙している人を見かければ、
警備の人もナーバスになるのは当然のことです。

多くの人は、カメラを持つと性格が変わります。
シャッターチャンスという言葉がいけない気もします。
撮りそこなう、という事をなんだかひどく恐れるのですね。
まして撮影会だと、誰々さんは撮れたのに自分は撮れなかった、というのを、
とても気にしてしまうようです。
我先に、花の咲いている場所などの目立つ場所に群がってしまいます。
そこに来ているのは、カメラを持っていない人もたくさんいらっしゃるのです。
一歩ひいてみると、はしたない姿に見えるものです。
長時間きれいな景色を撮っているカメラマンの姿そのものが、景観を妨げる存在になるのです。
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つい先週、築地のセリが見学禁止になった、と報道されました。
「外国人観光客のマナーが悪いから」
と理由にありました。
築地に行ったことのある人なら、それもうなずけると思います。
一カ所に立ち止まりビデオカメラをまわして、売り物の魚に指で触ったりします。
集団で道をふさぎ大声で会話をして、注意しても言葉がつたわらないので効き目がない。
なので、観光客のセリ見学が禁止になりました。
でもこれは外国人だけでは決してなくて、マナー違反は日本人観光客にも多く見られることです。

通訳業をしている友人から先日聞いた話です。
幼い子供のいる外国人のお母様方が、都内の公園に行くのをとても警戒しているのだそうです。
「一眼レフを持った日本人女性たちが、いきなり自分の子供たちを無断で撮影してくる。
 この一年でそんなことがとても増えた。彼女たちはその写真をどうするのだろう。
 その写真がひきがねになり、この国で犯罪に巻き込まれるのではないだろうか、
 誘拐対象リストにアップされるのではないか」
と。
子供、とくに外国人の子はとてもかわいらしく見えます。
撮りたい気持ちはわかるのですが、無遠慮に撮るのは控えましょう。
まずお母様に笑顔でご挨拶、
「Hello!」
そして
「May I take your pictures?」
と言いましょう。そして、
「No photo please」
と言われても嫌な顔をしないこと。
(英語圏でない方も多いので、必ずしも英語でというわけではありません)

アジェ、ブレッソン、ドアノー、120年前、50年前、30年前、
巨匠たちがパリにいる子供たちを撮影しています。
愛情にあふれた視線、愛らしい子供たち。
あんな世界をいつか自分も撮影してみたい、僕もそう思ってきました。
でも、そういうことが許されない時代になっているのです。
それは皆さんのせいではありません。
数少ない事件がそうさせたのです。
築き上げたものを壊すのに、100の事件はいりません。
たった一人が植え込みに三脚をたてて撮影しただけで、その公園は撮影禁止になります。
自分だけが傑作を撮ればいいというものではなくて、
これから後に写真をはじめる若い世代のテリトリーを奪うようなことは避けましょう。
国立公園で水芭蕉を踏みにじるような暴漢とは違うのだ、と、
写真を愛し、すべての被写体に敬意を払い、プロでもアマチュアでも、
フォトグラファーとしての矜持を保ちましょう。
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えらそうに長々と書いてきましたが、大変恥ずかしながら僕自身がたくさんのこんな迷惑行為をしてきました。
こんなこともありました。
大手ビル施工会社の仕事で、その会社の担当者とマンションの外観を撮影に行った時のことです。
三脚にカメラを乗せて、レンズをマンションに向けて担当者と構図を話し合っていたら、
そのマンションの中から、強面の男性たちがでてきて僕らは囲まれました。
暴力団の事務所が入っていたのです。
そこから後のことは、とてもここでは書けません。
「いったい写真を何に使うのだ」
と。
無断で写真を知らない誰かに撮られるのは、どんな人でも嫌なものなのです。
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たくさんのネガティブな話を書きました。
もう写真なんか嫌だ、カメラをやめる、と思った方もいるかもしれません。
でもそんなことではないのです。
包丁で指を一回切ったぐらいで料理をやめないのと一緒です。
安全な楽しい方法を、一緒に考えましょう。
僕自身、まだまだ気をつけなければいけないことがたくさんあります。
撮影に行き、師匠に注意されることも多いのです。
本当に赤面のいたりです。

これからも撮影会、ワークショップは続けます。
マナーのいいスマートなグループを目指しましょう。
「カメラマンが集団でくるとゴミだけが残る」
というイメージを少しでも払拭できるように。
「カメラマンが来ると町がきれいになる」
が、理想ではありますが、実際に落ちているゴミを全部拾いながら写真を撮るのは、難しいことです。
でも、それぐらいの気持ちで。
「カメラを持っている人はかっこいいね」
そんなふうに言われる世の中を目指したいものです。
これ以上「撮影禁止」の場所を増やさないように。
カメラを持っているだけで職務質問されないように。
ほんの少しの気配りですむことです。
みんなで楽しい写真ライフを。
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by moonisup | 2008-12-09 13:45 | photo


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