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2011年 04月 05日
Keep a smile 50
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Tokyo, 4 Apr 2011, 4:33 PM(JST)

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Keep a smileについて。
今頃ですが、ごあいさつです。

311の金曜日、僕たちは混乱の中に投げ込まれました。
東京ではすべての鉄道がとまり、ほとんどの電話が通じなくなりました。
でもまだ、事の重大さには気がついていなかったのです。

翌日の土曜日。
数え切れない悲鳴がWorld Wide Webにあふれ、世界中がヒステリックな絶叫をあげているようでした。
つながらなかった電話が復旧すると、入ってくる連絡は安否確認とともに、仕事のキャンセルの連絡でした。
夕方には、福島からの未確認情報が交錯するようになり、
家族の不安はピークを越えてしまったので、僕はテレビの電源を切りました。

日曜日は、とても静かな東京の街に子供と出かけました。
おいしいご飯を一緒に食べて、僕は景気づけにカメラを買いました。
子供との会話はつとめて楽しい話題を選ぶのですが、ほんとうのところ僕は泣きそうでした。

月曜日の朝、鞄に教科書と不安を詰め込んだ子供は、いつも通りに中学校に向かいました。
近所を見ると、ランドセルをしょった小学生達も明るい陽射しの中、登校しています。
ぽっかりと時間のあいた僕は、カメラを持って近所を歩きました。
何をしていいのか、何が最適な行動なのか、何もわからないままに。
ファインダーの中に広がる景色は、まぬけな程の日常でした。

余震なのか僕がふるえているのか、区別がつかない。
言葉も行動も見つからない、そんな月曜日の午前を、僕はおびえながら過ごしました。

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笑え。まあ、あれだ、いいから笑え。
自分自身への言葉です。
Keep a smile
このタイトルは僕の背中へのキックでした。

友人達のブログを見ると誰もが沈黙を余儀なくなされています。
更新されないブログの向こう側からは、僕と同じ泣き声が聞こえてくるようで、
僕は閉じていたコメント欄を、そっと開きました。
ろうそくの灯をともすように、一つ二つとみんなが声をかけてくれたのです。
僕たちは不安を共有しながら、笑顔を作り出そうと必死でした。

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そして覚悟していた批判の言葉。
ひとつひとつかみしめました。
反論はできません。
気持ちをこめて写真を撮り続けるのみでした。

震災から2週間がすぎた土曜日に、撮影会をしました。
風が強くて寒い日でしたが、僕たち10名はカメラを片手に千鳥ヶ淵を歩きました。
ここの桜は戦没者を慰めるために植えられたものです。
まだ固いつぼみは強風に揺られていましたが、春の花もいくつか咲いていました。
一人の方から、こんな言葉を聞きました、
「写真なんて撮ってはいけない気持ちになっていました。カメラを持つのは久しぶりです」
笑顔を添えて、ゆっくりと話をしてくれました。
こちらこそありがとう。

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何度も心折れそうになりました。
応援して下さった皆様のおかげで、
Keep a smileの記事が50になりました。
本当にありがとうございます。
これで一回区切りをつけます。
もちろんまだ何も終わっていないし、何も解決していません。
これから始めます。

たくさんのありがとうを。

2011年4月5日 関川真佐夫

by moonisup | 2011-04-05 22:29 | Tokyo


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