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2011年 07月 19日
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目玉丼(ドライカレーと温泉卵)
被災地での炊き出しメニューも、いまはこんな素敵なプレートがふるまわれています。

7/1-6に、石巻で炊き出しボランティアをしてきました。
そのレポート記事です。
なお、この記事は2011年7月6日までの話です。
被災地の情報は日々急激に変化していますので、
この記事の内容が現在の情報と異なる場合があることを最初にお断りします。
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「湊中学・みなと食堂」

海の近くにあった湊中学は、津波で大きな被害をうけました。
中学としては現在使われておらず、校舎の3階が避難所になったままです。
1階の武道場は扉や窓が大破して、中に大量のヘドロだけでなく破損した自動車なども入りこんでいました。
"絆"に集まったボランティアチームが、根気よく清掃を続け炊き出しができるようにして、
現在の形になっています。
震災直後は、すいとん2000人分の炊き出しだったそうですが、現在は170食分。
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すでに「炊き出し」というイメージからは離れていて、
ご飯・汁物、おかずとサラダ、とても美味しい料理を毎日提供しています。
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"絆"のリーダー・木村とーるさんは、
四万十塾の焚き火料理塾 (エイ出版)」という本を執筆している程の、料理上手。
こんなリーダーだからこそ、スタッフも一生懸命いろいろな料理をつくっています。
(とーるさんは、大変忙しいので炊き出し現場には滅多にきません)
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みなと食堂は、石巻でも有名になり、ここの避難所だけでなく、
遠方から自転車や車で食べに来る人もいるほどです。
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そしてここでもずっとハエの問題が。
窓も扉もしめているので、調理中は大変な暑さです。
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スタッフが一番気をつけているのは、食中毒対策。
切った食材はすぐにハエよけのラップをかけたり、
調理道具は毎回煮沸したりと、細心の注意をはらっています。

休日なしで、170人分のご飯を炊いて料理を数品作っていて、
週末はボランティアも多くいますが、平日は人が足りません。
そんな時は、避難所にいるお母さんたちが手伝いにきてくれることもあります。
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この日は、歯科検診があり、診察が始まる前に手伝って下さる先生もいました。
本当に感謝です。
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みなと食堂は広くて清潔にしているスペースなので、
医療チームも定期的に巡回検診をおこなっています。
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さて、ここで大変なのは、毎日のメニューを考えることです。
自由に好きなものを作っていいわけではありません。
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在庫を毎日確認して、傷みやすいものから順番に使っていきます。

ちょうど僕がいた7/1-6は、炊き出しスタッフが不足していた時期で、
急に暑くなった時期でもあり、長期滞在スタッフには体調不良を訴える人もいました。
僕は6日間の短期なので、リーダーや他のスタッフと相談して、
・毎朝の朝食作り班長
・昼のみなと中学
・夜の大街道小学校
を担当することになりました。
ただし、リーダー(とーるさん)からは、
「君はどこの現場でも極力調理しないこと、他のスタッフや地元の方に任せなさい」
と厳重に注意されました。
"絆"の方針は、
「炊き出しとは、施しではなくて、自立支援である」
ということです。
最終的には被災者の方が全部調理する方向に、うまく持って行くことを目指しています。
すでにそうできた避難所もあります。
この考えは、神戸以来、世界の被災地で活動してきたリーダー達の見解です。
さらに、
「料理以外の全体を見るように、新しくきた人に炊き出しシステムを伝える役割を」
とのことでもありました。
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また他の仲間からの配慮もあり、
一日二カ所炊き出しは大変なので、僕はみなと食堂は補助でいいということになりました。
5日間のメニューとレシピを考えてメモを仲間に渡すだけで、
料理上手の優秀なスタッフに実際の調理はおまかせしました。
最終的な味付け確認は僕がするのですが、
いつも味見を避難所のお母さんたちにしてもらっています。
濃い薄いなどを、数名にみてもらって、調整するだけなので、ずいぶんと楽をさせてもらえました。
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炊き出しで一番大切なのは「対話」です。
避難所の人がどんなものを食べたいのか、今日の料理はどうだったか、
僕は毎日必ず聞いてまわりました。

被災地には日本中からたくさんの炊き出しボランティアが入っています。
中にはプロの料理人チームもいます。
残念なことにそのすべてが好評だったわけではないようです。
各地の有名店でも、不評に終わるとこもありました。
僕はそんな話を被災者の方から聞きました。
どうもそういう料理は、
「こんなものを振るまえば被災者は喜ぶだろう」
という一方的な思いこみの場合が多いようです。
一軒家で暮らしているのではなくて、体育館内という過酷な生活の中で、
何が欲しいのか、何が必要なのか、それは毎日変わることです。

これは別の場所で聞いた話ですが、
東京のとあるホテルのシェフ達が炊き出しをして、大変好評だったそうです。
事前に支配人とシェフの二人が、現地に下見に行き、避難所の人と話をして、
調理場所を確認したりしてから、後日に数名のスタッフが現地入りしたからです。

炊き出しだけでなく、瓦礫撤去チームや他のチームも、必ず対話を何度も重ねています。
とても大変なことなのですが、そのような対話なくしては成立しないことだそうです。
電話などではあまり本音を語ってくれないので。
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そして炊き出しチームは、毎日ノートに必ず記録をつけています。
そうすることで、引き継ぎもうまくいくし、反省点を改善させることができるからです。
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みなと食堂の窓にあるゴーヤのカーテン。
収穫されたら、ここでは数日ゴーヤ料理ばかりになるでしょう。
それを見越して、ゴーヤ料理のバリエーションをすでに考えているスタッフもいます。

政府の目標では8月のお盆までにすべての避難所の人が仮設住宅に入れるように、
とのことですが、完全達成は難しそうです。
それでも避難所にいる人がどんどん減っているので、
近い将来このみなと食堂がなくなることになるかもしれません。
もちろんそれが理想で、被災地からボランティアが全員いなくなる状態になるのを、
誰もが目指しています。
毎日毎日、状況はめまぐるしく変わっていて、この先どうなるか本当にわかりません。
僕が次に石巻に行く事ができるのは9月になります。
その時、みなと食堂があるのか、他の炊き出し現場があるのか、
現地スタッフと連絡をとりあって、また適切な活動ができるようにと考えています。

(つづく)

by moonisup | 2011-07-19 23:59 | volunteer


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